2009年04月22日

コストダウンか?生産性アップか?

 製造業各社はコンペティタがひしめき合う中、一歩でも「他社をリードした製品」を世に送り出すべく日夜、しのぎを削っておられる。
ご存知の様にこの「他をリードした製品」という概念は実は製品価格のみを指している場合が少なくない。
少々工夫して気の利いた機能を盛り込んだところでお客様の心を打つことはそう簡単ではなく、それよりも「やすい!」というただそれだけのことが人を動かすことが多いことは皆さんもご承知のことと思う。

 A社は機械メーカーである。機械製造はオーダー単位で製造することが多くいわゆる個別受注生産型生産方式と個別原価計算とを行って管理を行っている。
A社も前述の流れでコストダウン、特に本丸である材料費と外注費の削減が重要課題となっている。
まず業者に値引きを要求する。
適わなければ他の業者を探す。
部品はまとめ買いして一個当りの単価を割り引いてもらう。
安い時に買い貯めしておく。
海外から輸入する。
少々不合理であってもなるべく標準部品を使用する設計とする。
他の工場の余剰在庫を調べて持って来てもらう ・・・乾いた雑巾を絞るようにコストを絞る涙ぐましい努力である。
我々も共感する。
しかしこのようにして多くの手間と手数とを増やして本当にコストダウンとなり企業競争力強化につながっているのか誰もよく分からない。

 一方、B社はこれとは異なった考え方をして改善に取り組んでいる。
この会社はA社のような執拗な単価にフォーカスを当てたコストダウンはしない。
まとめ買いや複数業者アイミツによるコストダウンは図らず、少々単価が高くとも発注は選んだ少数の質の高い業者に絞り込み、それらの業者とはオーダー毎(製番や工番)に部品類がパレットやケージにピッキングされた状態で納入してもらえるよう包括契約を結んでいる。
B社の製造部隊は必要な部品が既にピッキング済の為「部品がない!」と工場内を走り回る必要もなく、計画通りに組立に取り掛かれ、製造リードタイムの短縮に成功している。
しかもそれらの部品はそのオーダーのみを目的に購入しているのでデッドストックも発生しにくい。
もちろんある程度は使用頻度の高い部品のまとめ買いや在庫はしているがそれはあくまでも「効率の為」という考え方である。

 どちらが良いか?
これは考え方が異なると言うしかないが、個人的にはB社の動きに賛同する。
コストダウンは確かに必要だが、短絡的な削減は実は会社の将来性までも削減して行ってしまっていることも多いのではないか。
時間や効率性はお金よりも大切なものと誰もが分かっていても人はついつい財布の中身を心配しがちだ。
人生も10円20円を削って気が付いたら貴重な時間やチャンス、己の可能性や精神までも削っては取り返しがつかない。

 2000年前、ローマの哲学者セネカは著書「人生の短さについて」でこう言っている。
「人生が短いのではない。無駄なことをしているから短くなってしまっているのだ。」
posted by メールマガジン事務局 at 11:50| 生産管理戦士のつぶやき